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CROSS B PLUS NEWS

高校生「ビジネスプラン・グランプリ」東北地区発表会 優秀6校 発想豊かに
Published : 2022年3月15日
全国でグランプリに輝いた宮城農高による新事業プランの発表

高校生が新規事業のアイデアを競う大会「ビジネスプラン・グランプリ」の東北地区発表会が2月19日、仙台市青葉区の複合施設「クロスBプラス」を主会場にオンラインで開かれました。全国のグランプリに輝いた宮城農高(名取市)をはじめ、東北の6校が高校生ならではの豊かな発想を生かした事業の特徴、売り上げ予測、課題などを説明しました。

大会は日本政策金融公庫(日本公庫)が主催。全国353校から3087件の応募があり、1月に最終審査会が行われました。発表会では宮城農高のほか、セミファイナリスト賞の八戸高専、学校賞の酒田光陵高、「ベスト100プラン」選出の遠野緑峰高、男鹿海洋高、米沢商高が発表しました。

東北大地域イノベーションセンター長の藤本雅彦教授は「地域資源である活動や、SDGs(持続可能な開発目標)関連の関心が高いように感じました」と講評。客のニーズに応えられることなど3点をビジネスの鍵として挙げました。

各校の発表内容

宮城農高 海守る脱プラ肥料提案 「環境問題に一石」高い評価

宮城農高の農業経営者クラブは、プラスチックの被膜で覆わなくても効果が長く続く肥料の実用化を提案しました。クラブ活動で近くの海岸に漂着している小さなプラスチックを見つけ、肥料を覆う素材だと分かったことがきっかけでした。

プラスチック被膜肥料は水田で多く使われる。溶ける速度が遅く、追肥の手間が減るなどの利点はあるが、残骸の流出による海や河川への悪影響が懸念されている。メンバーは、ゆっくりと作用する肥料「ウレアホルム」に着目して水田向けの新たな肥料を試作。実際に効果を比較しました。

その結果、生育や収穫量に大きな差はなく、食味は他の肥料よりも効果がありました。全国の農家をターゲットにすれば840億円規模の市場になると試算した。2年の目黒花織さんは「海を守る一歩だと信じて進めたい」と締めくくりました。

大会では「解決しなければいけない環境問題について一石を投じるプラン」と評価されました。新たな肥料は本年度中にも製品化される見込みだという。目黒さんは「全国で使ってもらうのが理想。課題を解決しながら、この肥料で育てた地球に優しいコメを食べてもらいたい」と話しました。

プラスチック被膜肥料を巡っては、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが1月、2030年に使用をゼロにする方針を発表している。

八戸高専 染料とホタテで乾燥剤

八戸高専は吸湿性があるホタテの貝殻と、高い抗菌・消臭効果があるとされる青森県産の染料「あおもり藍」に着目。抗菌・消臭もできる乾燥剤の製造、販売の道筋を考案しました。ほぼ廃棄されるホタテの貝殻の有効利用と、あおもり藍の知名度向上が狙いです。

あおもり藍は完全無農薬栽培で、最近の研究結果で新型コロナウイルスの感染予防にも効果があることを紹介。生徒は「植物由来の成分で安心して使用できる」と利点を強調しました。

三つの効果がある製品は「現時点で競合がない」と言い、1年後の売上高は390万円程度を見込めると試算。一方、貝殻を持続的に入手する方法や、貝殻保管中の管理などに課題があると説明しました。

酒田光陵高 AIで障害者就労支援

酒田光陵高は、就労や自立を目指す障害者のための環境整備に知恵を絞りました。その手段として、障害者と企業をつなぐマッチングアプリ「ハリコア」の開発、事業化を図ります。

障害者は長所や短所、やりたい業務、求める支援などを登録し、AI(人工知能)が最適な企業を探す仕組み。メンバーは「障害の有無に関係なく、自分の強みを生かせる酒田市にしていく」と力を込めました。

遠野緑峰高 エゴマ搾りかすでパン

遠野緑峰高は、遠野市農業委員会と連携して耕作放棄地でエゴマを栽培。「農家の収入増につなげたい」との思いから、搾った油の販売だけでなく、全量の約7割を占める搾りかすの活用を検討しました。

かすを粉にし、規格外リンゴと組み合わせて「エゴマパン」を開発。地元企業と試作を重ねて販売にこぎつけました。農業委に技術提供して地域で6次産業化を目指すのが目標です。

男鹿海洋高 地元食材で手軽な料理

男鹿海洋高は、市場で流通しない地元産の小形のタイとサバを使った鯛めしとサバ飯の素を提案した。男鹿産の調味料を使って缶詰に加工し、2合のご飯に混ぜるだけで食べられます。

小形魚は餌などとして1キロ5~10円で販売されるが、30円にできれば1日1万円以上の収入増になると見込んでいます。秋田県内33の道の駅に並べ、年間1万8000缶の販売を想定。不安定な漁獲量を課題に挙げました。

米沢商高 米沢ラーメン 非常食に

米沢商高は、米沢市が備蓄する非常食がアルファ米や乾パンなどに限られ、全市民の4分の1日分しかないことに注目。「米沢ラーメン」を缶詰にし、非常食としての活用や、新型コロナウイルス禍の新たな観光商品にする計画を立てました。

時間がたっても伸びないように、こんにゃくを麺に使用。商標権や製造資金調達の課題はありますが、1缶390円で1日100個の販売を目指すという。

ビジネスプランを発表した生徒と来賓の参加者